アフリカからはじまったキャリア
2010年卒・2012年大学院修了 商社勤務
木下翔さん
フランス語を話すことができると、「フランス語ができるなんてかっこいいね!」「あの難しいフランス語が話せるなんてスゴイ!」と言われることがあります。一方、「フランス語って仕事に役立つの?」や「フランス語より英語を話せた方がずっといいよ」という声も耳にします。確かに、日本社会においてフランス語を使って活躍できる場所や機会は限られているように思います。
私は航空機部材やワインを輸入する専門商社で働いていますが、海外の取引先とのやり取りは英語がほとんどです。では、フランス語が全く役に立たないかというとそうではありません。フランスの航空機関係の取引先の方でも英語が苦手な方もいらっしゃいますし、フランスワインの生産者の中には英語が話せない方もいらっしゃいます。そういった時にフランス語は大変役に立ちます。相手の言葉や文化が分かるということは、ビジネス上のやり取りを円滑にすることができるだけでなく、時として単なるコミュニケーション以上のものをもたらすことがあります。
しかし語学というのは、あくまでもツールの一つです。語学を通じて何をしたいのかということが大切です。私の友達の中には、フランス語をとおして色々な分野や業界で活躍している方がいます。外交官として外国で働いている方、フライトアテンダントとして世界中を飛び回っている方、パティシエとして美味しいお菓子やケーキを作っている方、フランス語圏の文学や言葉を研究して教育に携わっている方など、様々な方面で皆さん活躍されています。
私の今後の展望として、現在、アフリカのフランス語圏の国と取引をしていることもあり、フランス語というツールを活用して日本とその国の架け橋になりたいと思っています。その国では日本の存在感はまだまだ薄い状況ですので、ビジネスを通して日本のプレゼンスを高めていきたいと思っています。それが、かつて私にフランス語を教えてくださった先生方や友人への恩返しにも繋がると思っています。
最後に大学時代に恩師から教えて頂いたヴォルテールの言葉を紹介したいと思います。
Il faut cultiver notre jardin. (我々の畑(庭)を耕す必要がある。)
これは単に畑や庭を耕すことを指しているわけではなく、心や知性、精神を磨くことを指していると思います。自分の人生をより豊かなものにするためにも、自分自身の可能性を更に磨いていきたいと思っています。
ワインのテイスティングをする木下さん
カメルーンの首都ヤウンデの風景